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リック・ウォレン牧師が提案する新来会者むけの礼拝(その5)

 リックさんが、なぜこうした「改善(カイゼン=トヨタ手法?)」をするかは、教会の背景を持たない人々が、もはや大半を占めるようになってきたからでしょう。また随所に、経営学の大家ピーター・ドラッカー氏の影響を見ることができます。

現代経営論の導入か?
 これは、神学や教理をまげることなく、「変えていいところは変える」と言うことができそうです。これは経営的手法で、いわゆる「教会成長論」の一つとして、あまり好まない人がいるらしいことは聞きます。
 数や統計、計画を重視し、教会を大きくしたいがために目前にいる人間が疎外されるような非人格的な「教会成長論」の弊害は、すでに私たちは学習済み。

 経営学というとこの世の手法と思われがちですが、要は、現実を直視し、「相手をよく知り、己をよく知る」という、ごく当たりまえの感覚とも言えます。「経営学」が悪なのではなく、何のためにそれを利用するのかで問題が出るのではないでしょうか。

リック・ウォレン牧師が提案する新来会者むけの礼拝(その5)_e0079743_14185270.jpg新来会者のフォローはどうするのか
 前回の記事で、「新来会者は皆に紹介せず、そっとしていく」というリックさんの考えは分かりました。日本の教会は人数が少ないので、ある程度の紹介は避けられないでしょう。しかし、リックさん! フォローはどうしたらいいのでしょう。 
(写真は原書に掲載。カジュアル!)

三種類のカードの活用
 サドルバック教会では、人数が多いこともあるでしょうが、「新来会者紹介」の時間を持たない代わりに、いくつかのカードを用意しているそうです。

 (1)第一印象カード  (2)歓迎カード  (3)礼拝評価表

 この資料を通じて、出席の確認、霊的状態の診断、祈りの課題収集、信徒の年代、行事への参加希望の有無、人材募集、礼拝の評価、個人情報の更新、説教の材料集め、新しい必要の把握、その他・・・を知るのだそうです。

 いやー、びっくりしました。ここまで来会者や信徒の情報、状態を知ろうとしているとは! もちろん信徒は自発的に提出するのでしょう。牧師へ個人的に伝えたいことも書けるそうです。「面と向かって口で言えない人でも、文章でなら伝えることができる」とリックさんは言います。ほんとですね、これは。

 リックさんは、会員が三千人になるくらいまで、毎回全部に目をとおしていたそうです。現在は、牧師への私信が書かれているものだけ読むそうです。いやー、すごいもんだ。

それぞれのカードの役割
 カードは、新来会者だけが書くのでなく、みなが書くので、新来会者の心理的負担が軽減される、またカードは献金袋に入れて回収するので、献金しない人でも献金袋に入れるのがある(!)ということです。知恵ですね!
 新来会者は、「第一印象カード」を書くそうで、そこから初心者の視点を学ぶことができるそうです。また、来会が一回目、二回目、三回目かどうかを記入する欄があり、牧師より、それに応じた歓迎の手紙を受け取るのだそうな。へ〜、びっくりだ。行き届いてますね。

 「歓迎カード」は、定期的出席者、教会員からの感想を収集するのだそうです。なかには提言、助言をよくしてくれる信徒がいて、耳を傾けるそうです。

 「礼拝評価表」は、教会スタッフの見解、感想用。週報、音楽、説教・・・あらゆる礼拝要素の評価を書けるそうです。毎回の説教についての感想、評価も書けるのは画期的。

 日本の教会でこうした「信徒からのフィードバック」を得ているところは知りません。とくに先生に意見を言うのは失礼になり、はばかれる文化(聖域?)です。「思うところはあるが、どう伝えてよいか分からない。聞き入れられるかも不明。このままだと、黙って別な教会に変わるしかない」と思っている信徒(初心者ではない)を、私は何人も見てきました。(それはそれでしかたがない、という考えもあるでしょう。)
 また教会スタッフといっても、なかなか率直なことは書きにくいでしょう。システムを作ればよいというより、それを支える風土作りがあって、はじめて成功すると思います。

 三種類作るかどうかは別にして、こういうフィードバックの窓口を作ることは、小さな教会でもできそうです。これをするだけでも、教会はますます良くなるのではという予感がします。(そう思うのは私だけ?)