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「書く」ということの霊的な意味(Spiritual Journaling)

 何年か前から、「書く」ことには、霊的な意味があるのでないかと思い、模索している。私の場合、おもに1日を振り返って書くことを夜に行ってきたが、朝に書く場合もある。

 矢のように過ぎ去る毎日のなかで、振り返ることをせず、生活の内に意味深いことを発見しようとしないなら、いつの間にか空しさにとらわれるのではないか。
 この振り返る(Reflection)作業の助けとして、「書く」ということがある。1日ばかりでなく、1週間、1ヶ月、半年、1年を振り返ることもよい。書くことで心を落ち着かせ、振り返ることを可能にする。

「書く」ということの霊的な意味(Spiritual Journaling)_e0079743_025041.jpg 書くためには、自分と向かい合わなければならず、じつは私にとって、これが一番難しい。出来事を、さっ、さっ、さっと箇条書きにしてすませたいことが多い。それでもいいのだが。

 昔の人は、硯に水を注ぎ、墨をこすって毛筆で書いた。墨を滑らすリズムで、湧き立つ墨の香りで、濃くなっていく墨の変化を見て、目の前の白紙をみつめながら、「さあ、どう書こうか」とリフレクション。瞑想しながら、心と体の落ち着きを自然と深めたのではないか。

 書くスタイルに決まりはない。自分に合った手段で続ければよい。ノートや手帳に手書きで、あるいはネット上のブログに載せることで励みにしてもいいだろう。

 ただ、個人的な心の深いところで起きたことがら、神との対話、本音を見つめるには、自分だけのノートに手書きするのがいいのではないか。旅にもそれを持ち歩く。そうした日誌では、ダグ・ハマーショルドの素晴らしい著作『道しるべ』(みすず書房)が有名。

 ナウエンの名著『Bread for the Journey』(邦題:「今日のパン、明日の糧」)のなかに、書くことについての、ぴったりした文章があった。さすがナウエンである。(4月27日〜29日の記事)
  要点のいつくかを自分なりに書いてみよう。

 ・書くことは真の霊的修練になる。
 ・書くことで、心の深い動きに触れたり、とらえ難い想いを明確にしたり、混乱を整理したり、大事な思い出にしたりできる。
 ・つらく、苦しい1日であっても、書くことで救われる。
 ・自分の生を、人生の旅としてまとまりをもって見ることができる。
 ・書く内容が先にあるのでなく、書いていくことのなかで、書く内容が次々に生まれてくる。
 ・一枚の白い紙を前にして落ち着き、心に浮かんできたことを、とにかく書いてみる。
 ・書くことで、自分にうちに深く隠されていた宝の井戸を、掘り出すことができる。
 ・書くことで、自分の人生を自分のものとして受け止めることができ、場合によっては、他者への贈り物にさえできる。
 ・自分の人生を振り返って書くことは、物語ることである。物語ることにより、その物語を、もっとよく生きようとする元気が湧いてくる。

 昨年後半は、落ち着いて日記を書けなかった。なぜだろうか。自分の内に乱れがあったのだろう。そこにも、自分の心のあり方を見ることができる。

 まずは、お気に入りのノートを手に入れ、それを開き、愛用のペンを持ち、白いページの前に自分を置くことである。それからどうなるかは、そのときになってのお楽しみ。

(最近、用事が重なって多忙。二週間くらい新記事をお休みします。コメントはどうぞ。)