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米国の福音派の最近の流れ

 しばらく前のネット上のニュースに、曲がり角の米国の福音派、勃興するハウスチャーチという記事が載りました。
 メディアはセンセーショナルに扱うので、記事のトーンは気をつけなくてはなりません。

 ・気をひくために記事を演出しがち
 ・日本人記者はキリスト教界に無知(特に福音派に対して)で、正確性が低い
 ・初めから政治的な先入観で決めつけて、視野が狭い
 ・二次情報で書くことが多く、さらにそれを短くまとめるため内容に混乱がある。

 というのが私個人の印象です。間違っていたら教えてください。
 しかし、日本語で明確に報告してくれるのはありがたいです。

米国の福音派の最近の流れ_e0079743_229129.jpgメガ・チャーチに背を向ける人々
 この記事の報告はまず、メガチャーチ作りに背を向けて、ハウスチャーチに参加する信徒が増えているということです。主催者の一人は、

「メガチャーチでは結局、誰とも出会わず終わってしまうことも多い。僕たちはもっと実質的なつながりを求めている」
とのこと。
 元メガチャーチの指導者は、「次々にメガチャーチが生まれ、福音派が成長しているように見えた裏で、小規模な教会が消えていった。大組織の中では人々は疎外される。少なからぬ信者が不満を持っていた」と。

 このへんの観測や理解は、どうなんでしょう。正確なんでしょうか。(そりゃー、部分的には当たっていて、ハウスチャーチも増えているでしょうが、この記事の流れでは、米国全体でメガチャーチが減り、これからはハウスチャーチが主流になるかのような記述は変だと思います。)

 06年の調査によると、これまで家庭での礼拝を経験したことがある人の総数は7000万人。(ええ〜? アメリカの人口が約二億人。7000万だなんて、どう考えても多すぎる。一桁間違っているのでは? ここでの「家庭での礼拝」の定義も不明・・)
「2025年までに、米国で教会に通う人口は今の半分に落ち込むだろう」という予測があるとか。まあ、これも実際は分かりませんよね。

メガチャーチの牧師の発言
 そういえば三、四年前、メガチャーチの代表的な牧師、リック・ウォーレン氏と韓国のチョー・ヨンギ牧師の対談が、ウオーレン牧師関係の英語のサイトに載っていたのを読みました。そこでは、

「これからネット社会が発達するなかで、巨大教会にわざわざ来たいとは思わないでしょう。教会に属しつつ、近くの小グループに加わって、互いに交わりをすることを奨励したい」と話していました。メガ・チャーチの指導者がこう発言していたので、驚いた覚えたあります。(あくまで私の記憶です。リンク先が見つかればいいのですが。)

 そういえば、昨年、福音派の雑誌 Christianty Todayにも、既存の教会に行かなくなったクリスチャンの特集記事がありました。記事は読んでいませんが、ほかに受皿があるのでしょうか。インターネット礼拝?・・まさか。

政治的立場の変化
 この新世代は、政治的にも、共和党よりのいわゆる福音派と異なるスタンスをとり、民主党を支持する人も出てきています。イラク戦争の失策も関係あるかもしれませんが、「中絶や同性婚という問題で対立をあおるより、地球温暖化やエイズ、人権などの問題に力を入れたい。人々の内面の変化にかかわりたい」といいます。(もっともだなぁ〜)

 福音派=共和党支持=イラク戦争賛成=キリスト教原理主義=ブッシュ大統領

 という、日本のメディアのステレオタイプ、「バカの壁」(思いこみの壁)で片づかない動きが出てきたというわけです。
 これは今になって出てきたのではなく、最初から、ここでいうスタンスをとる福音派が、たくさんいたはずなのです。

 日本のキリスト教会は、ほとんどが小さいので巨大な教会で問題になることは、あまりないと思われます。ただ、さまざまな教会があるので一概には言えないにしても、小さい良さを生かしながら、さらなる工夫が必要であることは、皆が分かっているのではないでしょうか。