荘厳な美。葬送の音楽(ジョン・タヴァナー)


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 現代のイギリスの作曲家、「ジョン・タヴァナー」をご存知じでしょうか。存命です。
 バロック時代のやはりイギリスの作曲家、「ジョン・タヴァーナー」とは異なります。ややこしい。

 私がこの曲、『アーセンのための歌(Song for Athene)』知ったのは、ロンドンのウェストミンスター寺院で行われた故ダイアナ妃の葬儀の出棺のとき流れていたのを、たまたまYouUbeで聞いて衝撃を受けたことによります。

 作曲家は誰だろうとよく見たら、彼でした。彼のCDは二枚ほどもってはいましたが(交響曲第一番など)、まだ馴染めないでいました。

 少しずつ知ってくると、彼は東方正教会に改宗した作曲家だというではありませんか。
 その曲想は、神秘的と言われています。私は宇宙的な雰囲気にも思えました。SF映画に似合うような。
 
 まずは聞いて見てください。

 なんか、低音にうわーん、うわーんと響く声のようなものがあり、なんと東洋のお経のような雰囲気を醸しだしていますね。しかも、悲しみに満ち、敬虔な思いに満ち、荘厳、厳粛な雰囲気で満ちています。
 ところどころに交じる不協和音が強烈な印象、違和感、ハッとするような覚醒を招きます。

 歌詞は以下のよう。

Alleluia.
May fights of Angels sing thee to thy rest.
(アレルヤ、戦いの天使たちが、あなたに安息を歌わんことを。)

Alleluia.
Remember me, O Lord, when you come into your Kingdom.
(アレルヤ、私を思い出してください、主よ、あなたが神の国につくときに。)

Alleluia.
Give rest O Lord, to your handmaid, who has fallen asleep.
(アレルヤ、安息を与えたまえ、主よ、あなたの創られし者に。眠りにつきし者に。)

Alleluia.
The choir of saints have found the well spring of life ,
and door to paradise.
(アレルヤ、聖徒たちの聖歌隊が、命の泉の井戸を見つけた。そして天国へのドアも。)

Alleluia.
Life: A shadow and a dream.
(アレルヤ、人の命は、一つの影、一つの夢。)

Alleluia.
Weeping at the grave creates the song: Alleluia!
(アレルヤ、墓前で流す涙は、歌を創りだす。アレルヤ)

Come enjoy rewards and crowns I have prepared for you!
(来たれ、私がそなたに用意した報酬と冠を楽しめ!)(●)

Alleluia...(アレルヤ)


 演奏は、静かに、静かに、厳粛に始まって悲しみを歌い上げ、最後の(●)のフレーズで、すべての宗教曲がそうであるように長調に転調し、最高に盛り上がって、喜びと希望を指し示します。
 そして最後の静かなアレルヤに回帰して、現実に戻り、静かに終わります。

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 歌詞はロシア正教の祈りとシェイクスピア作「ハムレット」から採用しているそうです。
 タヴァナーはこの曲を、交通事故で亡くなったアーセンという名の女性を偲んで作曲したそうですが、それが同じく交通事故で亡くなった故ダイアナ妃の葬儀(音質悪し)で、世界中に流されたわけです。

 今月は敗戦記念日があり、戦没者、被爆者の悲劇を思ったり、25年前に起きた記憶に新しい日航機事故の死者ことも追悼する月です。

 以下は、別な演奏ですが、より静粛で、気持ちのこもった演奏に思います。映像も、音質もなんとも美しい。
 音量が小さいので、イアフォンで聴くか、ボリュームを上げないとよくわかりませんが、荘厳で、厳粛な追悼の思いに誘われます。

 合掌。


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