20世紀の宗教・思想書100選 パート(8)No55-51

 一年以上もご無沙汰のシリーズ、がんばって調べ、書いてみました。『クリスチャニティ・トゥデイ誌』が選んだ宗教思想書100選シリーズ第8弾。CT誌の100選は書名のリストだけで、解説はついてません。
 ネット情報がかなり充実してきたので、いろいろと資料を閲覧し、参考にさせてもらいました。リストを作成しながら、自分がいちばん勉強になります。

55 『創作者の思い』(仮題 邦訳無し)ドロシー・L.・セイヤーズ
The Mind of the Maker by Dorothy L Sayers、(1893-1957年)
e0079743_18114347.jpg 英国の作家、キリスト教人道主義者。「ピーター・ウィムジイ卿」の推理小説で有名。アガサ・クリスティと並ぶ女性推理作家。本書は創作活動を、「アイデア」「実現(インプリメンテーション)」「相互作用(インタラクション)」という三段階に分けて解説。

 アイデア→制約を受けない頭の中での完成形。
 実現→時間、空間の制約を受け、物質の影響も受ける。
 相互作用→作られた創作が他との出会いで影響を与える。創作者が意図した使い方以外の、誤解、誤用、無視も当然起こってくる。

 本書が、宗教的なこととどう関係するかについては資料がなく、不明です。創造主である神と、その創造物、自然、人間との間にも、こうした作用があるということを言いたいのでしょうか? ご存知の方は教えてください。たしかフィリップ・ヤンシーが、彼女の著作を引用していたような気がする。

54 『キリスト教と社会的危機』(仮題 邦訳なし)ワルター・ラウシェンブッシュ
Christianity and Social Crisis by Walter Rauschenbusch(1861-1918)
e0079743_18203670.jpg 近代アメリカ・プロテスタント教界を代表する一人。牧師。社会的福音運動を指導。福音の視点から労働者の社会問題に取り組み、神の国の実現を目指した。人間の発展、進歩について楽観的な視点が基盤にあるので、リベラルな神学者と位置づけられましょう。
 そういう意味で、賀川豊彦の人間理解、社会理解と近いように思えます。

 M.ルーサー・キング牧師は、一時、彼の思想に傾倒したようですが、彼の楽観的な世界観とキリスト教を社会と安易に同一視する考え方に賛同せず、彼から離れる。ニーバーは、人間は罪深い存在であり、悲観的に見ていたので、「キリスト教的愛の実践で社会悪がいずれはなくなる」という人間中心の考えを批判したようです。そうであるにしても、キリスト教と社会福祉について論じた先駆的著作。

53『四枢要徳について』ヨゼフ・ピーパー著  松尾 雄二訳  知泉書館 (2007/05)
The Four Cardinal Virtues by Josef Pieper(1904-1097)
e0079743_1823344.jpg ドイツ人。ミュンスター大学教授 (哲学的人間学)。著書は、『アカデミックとはどういうことか』『哲学するとはどういうことか』『信仰について』『愛について』など多数。
 20世紀で最も卓越したキリスト教哲学者の一人。トマス・アクィナスの解釈を踏まえて、ヨーロッパの伝統的な「徳」についての全体像を描いた名著。正義とは何かを解く。それにしてもタイトルの「枢要徳」という用語はめったに耳にしませんが。

 100選ではないですが、ほかに彼の著作で興味深いのは、『余暇と祝祭』(講談社学術文庫)。e0079743_1824493.jpg 現代人が豊かな生活を享受するために、余暇の意味を考察。いかに人間らしく生きるかを展開。小著。



52『アンネの日記』 (文春文庫)
e0079743_1830538.jpg 言わずと知れた 『アンネの日記』の完全版。98年に新たに発見された5ページ分を加えたもの。あまりに有名ですが、読んだことありますか? 私は、まだです。でも、かつてアムステルダムを観光したとき、隠れ家を見学したことがあります。

第2次世界大戦中、ナチスの手を逃れて、アムステルダムの隠れ家で書きつづった13歳から15歳までの25か月間の日記。家族愛、恋、悩み、苦しみ、喜び、 夢と希望を記した少女による20世紀の魂の記録。


51 『生きる意味を求めて』ビクトール・フランクル 諸富 祥彦、松岡 世利子、上嶋 洋一訳
 Man's Search For Meaning by Viktor E. Frankl
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 フランクルの著作は、ありがたいことに、たくさん翻訳されています。それだけ日本に読者がいるということですね。

 ナチス強制収容所での体験から、彼のロゴ・セラピーの実践までを解説。
 どうしたら苦しみに向き合うことが出来るのか。その意味は何か。フラ ンク氏の思想の全体像が分かる。
 想像を絶する苦難にあって、どうやって希望を持ち続けることができるのか。心を打つ名著。
 「人生は、あなたを決して捨ててはいないはずです。
 あなたを必要とする何かがあり、あなたを必要とする誰かが必ずいる」



20世紀の宗教書100選 パート(5)No70-66
20世紀の宗教書100選 パート(6)No65-61
20世紀の宗教・思想書100選 パート(7)No60-56
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