ケルト系教会から教えられること

(以下の文は、クリスチャンライフ研究会の会報『風の色』19号(2009/8月号)用に執筆掲載したものです。少しの修正を加え、ここにアップしました)

e0079743_11133542.jpgかつてヨーロッパに存在した奇跡的な教会
 私たちが通常、普通と思っている教会の制度、スタイル、霊性は、様々な文化の影響を受けている。プロテスタント教会のあり方は、西方教会の流れにあり、ローマ・カトリックが吸収したローマ文化の影響を多く残している。もちろん、それがすべて悪いという意味ではなく、それを自覚することが大切だと思う。

 西欧にあってローマの影響から逃れた奇跡的な教会があった。アイルランドを主とするケルト系教会だ。民族の文化を取り入れながら、独特のキリスト教霊性を育んできた。私たちは音楽を通じて、いくらかその雰囲気に親しんでいる。エンヤ、ケルティック・ウーマン、リバー・ダンスなどの音楽は、その雰囲気を今に伝えている。賛美歌にも「試みの世にあれど」「アメージング・グレイス」など、郷愁を誘うメロディ(五音階)が、その香りを残している。

 ケルト系教会の隆盛は、5〜9世紀で、その後はヴァイキングの侵略で衰え、続くカトリックやプロテスタントの勢力に押され、その形態は千年前に地上から消えた。しかしその精神文化は、ヨーロッパ精神の一つとして脈々と受け継がれている。現在、自然破壊の元凶として批判されるキリスト教の中で、自然と調和し、豊かな霊性を持つケルト系教会を見直す運動が起きている。

その持つ霊性の特徴
 ケルト教会の信仰生活の 特徴をいくつか挙げると、「共同体」「物語」「友情」「象徴」「冒険、旅」である。ローマ教会はローマ文化の影響を受け、中央集権的ヒエラルヒー築いた。ケルトは、部族の集合体であったため、部族ごとに修道院(共同体)を設置し、その院長を中心に活発な宣教活動を行った。

 ローマ的伝道は、福音を宣べ伝えるとき、「こちら、あちら」と捉えて対面し、対決的に議論、説得し、それを聞いた人が一定の条件を受け入れ、それに従う誓約をしたら教会(共同体)に加える。ケルト教会は、最初から共同体に迎え入れ、生活を共にする。異教徒はキリスト者の生活が示す魅力に惹かれ、質問をし始める。そして、あるとき自分が信じてることに気づき、洗礼を受け、教会に加わるという。

 「ソウル・メイト(魂の友ーアナムカラ)」という言葉も、ケルト教会にルーツがある。文字をもたなかったため、口承による豊かな物語文化を持つ。航海をよくしたので、外に出て行く冒険精神や、人生を心の旅に例えたりする。海外宣教も活発だった。

 教理が不確かだったり、悪影響が出るほど異教的要素を混ぜてはいけないが、独自の文化を生かし、今も私たちの霊的渇きに応えてくれそうな霊的遺産を持つケルト系教会は、これからも私たちを魅了し続けるだろう。(参考文献:The Celtic way of Evangelism by G,Hunter. Wikipedia他)
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